「いろはもみじ」ができるまで

こちらも、パッケージのリニューアルを担当した
藤い屋さんの「いろはもみじ」というお菓子。
昨日、やっとオンラインショップに登場しました。

本店がある宮島のもみじが、葉が小振りな「いろはもみじ」という
種類であることに因み、春の芽吹きをうぐいす豆、
秋の紅葉を大納言小豆で表現したお茶菓子です。

鹿の子を錦玉糖で包んだ感じのお菓子で、
しゃりっとした外側と、中の豆のふっくらとした食感の
贅沢な組み合わせは、お抹茶にもぴったり。

さて、そんな「いろはもみじ」ですが、
自分の中でデザイン案が決まるまで、
実はとても長い時間を要しました。

 

本質にそぐわないと感じたアイデアは容赦なく切り捨てていき、
お菓子の個包装の形と、茶室のイメージからくる正方形をモチーフにし、
春と秋の色を組み合わせた文様にする案に絞り込んだところで
ようやく入り口にたどりついた気がしました。

様々なデザインを試みるうちに、
文様を単なる抽象的な装飾で終わらせることなく
言葉を文様で表したい、と考えるようになり・・・。

キーワードの「いろは」を文字にできないものか、と
試行錯誤を繰り返しましたが、どうも違う。

ふと、「イロハ」という片仮名になることに気付いたときには、
頭上に電球がぱっと灯ったようでした。

商品を人に差し上げるたびに、この謎掛けをします。
すぐに解読する方も、悩んでしまう方も人それぞれですが、
ちょっとしたコミュニケーションを生む仕掛けです。

2個入りから12個入りまで、こんなラインナップで完成。
根気よく待ってくださったクライアントのおかげですが、
あきらめずに粘って答えを出すことができたケースであり、
プロとして、この姿勢を崩さずにいきたいものです。

 

 

 

宝石のようなお菓子「花虎白」デビュー

ブログの間がすっかり空いてしまいましたが、
この春にはいくつかの商品がデビューしました。
そのうちのひとつが、
広島の藤い屋さんの「花虎白(はなこはく)」というお菓子です。

フルーツのピュレを砂糖と寒天で固めた、いわゆる琥珀糖ですが、
箱に詰められて届いたときの印象が宝石箱のようでしたので、
それをパッケージデザインの核としました。

お菓子のとんがった形からシャープな菱形の箱を、
3種類のフルーツの色から、白、紅、黄の3色の
さまざまな組み合わせを考えました。

白は西洋梨、紅色はフランボワーズ、黄色はマンゴで、
外はしゃりっと、中はぷるっとした、食感も楽しいお菓子。

その楽しさを、パッケージの組み合わせでも表してみました。
6つ並べると花のようで、3つだと六角形にもなります。

「花虎白」というネーミングは、
花のような琥珀糖というところからですが、
「琥」という文字の画数の多さが気になり、
琥珀とも「王」へんをとってみては、とご提案。

そうすると文字面もすっきり。
ネーミングを担当した永松聖子さんが、
「琥珀という言葉は一説によると、
中国で虎の固まりが琥珀になったという伝説から由来」
と語るように、もとの意味にも合っているようです。

花はフランボワーズ、虎はマンゴ、白は西洋梨を
表しているとも言えるネーミング。
私のお気に入りの和食店「虎白」とも仲間のような・・・。

6月末頃には、オンラインショップにも登場します。

 

こんな時期ですが、こんな時期だからこそ、
日々の生活にささやかな彩りを添えられるような
デザインをしていきたいと思います。