2010年の終わりに

オフィスと自宅の大掃除に、年賀状書きもなんとか済ませて大晦日の夜を迎えました。今年もどこにも行かないで東京での年越しです。
2010年を振り返ると、達成できたこととして、まずこのサイトが完成したということがあります。今年こそ、と掲げた3つの目標のひとつでした。残りの2つはと言うと、来年の春には達成できそうに思います。

仕事では、主にレギュラーのクライアントの商品開発やリニューアルが相次いだ一年でした。新しいダイナミックな動きが実現に至らなかったりした代わりに、ストレスも少ない年でした。各クライアントにとっては、新たな基盤作りの年であったかと思います。来年は、まず現状の課題を完成させることからですが、ゼロからスタートするプロジェクトもやってみたいものです。

人間関係においては、様々な新しいご縁に恵まれましたが、特に社会的にも話題になった「女子会」が、私の周りにもいくつか生まれました。学生時代からなにかと紅一点が多かったので、これは新鮮です。世代に関わらず起きている潮流なのでしょうか。

私生活では、どんなに忙しくても毎週日曜日のスポーツクラブ通いを心がけ、玄米に野菜中心の食生活で体調も整えた一年です。そのおかげかどうか、ゴルフも3回の優勝を果たしました。来年は、もっと高めの目標を掲げています。

と、書いているうちに2010年が終わりつつあり、カウントダウンが始まります。来年も、佳い年となりますように!

審査会から審査会へ、の師走

今年のJAGDA年鑑の二日間にわたる審査会が終わりました。先週の一日で担当カテゴリーの入選作品を選び、今週は新人賞とJAGDA賞の選出です。近年の不況にも関わらず年鑑の応募点数が増えている一因に、新人賞を目指す若手の活発な応募があり、その中から選りすぐられた候補者たちを3名に絞り込むのは容易なことではありません。リリースされるまではここで具体的な結果を書くわけにいきませんが、ハラハラするような逆転劇を経て今年の3名が決まりました。
私自身も13年前に念願だったこの賞をいただきましたが、ここがいつも自分の原点という気がします。現状に安住せずに、あの頃のハングリーな向上心を思い出さなくてはいけませんね。折しも2011年を迎えるわけですし。

翌日は、大阪でのエコプロダクツデザインコンペ審査会へと向かいました。気持ちのよい蒼天に映える師走の富士山。電線が新幹線からのショットであることを物語っています。

京都に近づく頃、車窓には大きな虹が。虹を見ると応援されているような気がするのは私だけではないでしょう。

品川駅エキュートの「てとて」で買っておいた鯛飯のお弁当を、新大阪に着く前にいただきました。鮭の切り身が厚いところがお気に入り。

前日のグラフィックの審査から頭を切り替えて、今度は一般公募のエコプロダクツです。これが果たしてエコなのか、というものも多く、今後の課題が多いコンペでした。でも、これで今年の審査のお仕事はすべて終了。来年は審査される側としてもがんばろうと思います。

売り上げナンバーワンの辞典

2月から装幀の仕事を進めてきたベネッセの「小学国語辞典」と「小学漢字辞典」が、やっと完成し、オフィスに届きました。かれこれ10年ほど前からベネッセの辞典の装幀を担当していますが、幸いここ3年ほど、小学国語辞典において売り上げナンバーワンのようです。(厳密には国語が3年、漢字が2年)辞書引き学習を勧める広告の効果や、辞典としての使いやすさによるものらしいですが、装幀が子どもたちやお母さん方に評価いただいているという、嬉しいお言葉も。
そのため、今年の改訂では、デザインのリニューアルによる、さらなる「パワーアップ」を期待されました。私はいわゆる「パワー」とか「パンチ」のあるデザインが得意な方ではありませんが、ユーザーとのコミュニケーションのための、強さではない魅力をいつも目指しています。そこで、3年前の登場以来ユーザーに支持されているクマのキャラクターに続投させながら、コンセプトをより象徴的に打ち出すことに決めました。そのコンセプトとは「言葉を学ぶことで広がるコミュニケーション」です。
いくつかの案を形にしていく中で、クマたちが大きな輪でつながり、国語と漢字の辞典どうしもつながっていくという案に至りました。

書店に並んだときに、クマたちが隣の辞典のクマたちとつながります。左右逆に置かれたときは、足でタッチ。クライアントから「ならば、積んだときにも側面がつながったらどうでしょう」というご意見も出て、そこにもクマをプラスしてみました。やり過ぎは禁物ですが、この足し算はなかなかです。

こんな感じで永遠につながります。本の背表紙には、つながる足跡を入れました。

こちらは表紙のテスト版ですが、イラストをエンボスで表現しました。背表紙にも足跡を追加。立体的なエンボスと足跡はしっくりくる組み合わせです。

育ち盛りの子どもが日々使うもののデザインをすることは、実は責任重大。売ることを優先した、店頭で目立つ、強さだけのデザインへの抵抗はここにあります。その結果として子どもたちの評価が得られれば、こんなに嬉しいことはありませんね。