Gマーク大賞は羽を持たない扇風機

昨日、六本木のミッドタウンホールにて、今年のGマークの大賞選出と表彰式が行われました。審査委員としては、数ヶ月にわたったお仕事の最後のシメです。

大賞候補であるベスト15の対象が電光掲示板に並び、各対象ごとに4分以内のプレゼンテーションが始まります。今年もまた、クルマやテレビ、カメラのような「モノ」から、施設空間、システムなどの「コト」をつくる対象まで幅広い秀作が揃い、私自身も、プレゼンの内容によっては、心が揺れ動く可能性もありました。
昨年までの投票は、メダルを審査委員は10枚、一般の受賞者は1枚持ち、壇上に並んだ容器に入れるというアナログなものでしたが、今年は手もとのスイッチを押す方式に変わり、ライブ感は少し減りました。でも、結果を待つワクワク感は例年通りです。

一回目の投票で、上位5点にしぼられました。私が投票したダイソンの「エアマルチブライアー」という扇風機はこの時点でトップとなりましたが、2位との差が100票未満のため、上位5点での決選投票になります。再びスイッチオン。

2位と137票の差がある437票を獲得し、ダイソンの大賞が決定しました。2位の「ナインアワーズ」も、斬新なカプセルホテルのあり方を提案し、サインやグラフィックのクオリティも極めて高い対象。ただ、私自身の投票の基準は、それまでの既成概念を根底から覆すくらいに発明性が高いもの、ということでした。2010年は、アレが誕生した年だよね、と言えるような時代のアイコンになり得るものです。

羽を持たない扇風機は、それにふさわしいものでした。指をはさまれる恐れもなく掃除も簡単、エアコンと比べて時代遅れな存在などではなくむしろエコ、という革命的な扇風機。なにより、丸い穴があいた、見たこともないビジュアルです。理屈を越えて、多くの人々の心を掴んだのでしょう。

表彰状を手にしたダイソンのプレゼンテーターの笑顔。最前列の真ん中に着席していたため、間近で喜びを分けていただけました。

大賞選出のあとは、私たち審査委員が受賞者の方々に表彰状をお渡しする授賞式です。今年は、受賞者の中に、かつて在籍したパルコの後輩がいました。子どものいる母親の社会活動を応援する授乳服づくりを評価された「モーハウス」代表の光畑由佳さんです。実は、この日が初対面。

このあと、裏地桂子さんの出版記念パーティーへと向かいました。4冊目の著書「お家ごはんが美味しくなる口福の調味料100味選」の出版に、多くの方々が駆けつけて大盛況。私がデザインした、彼女の出来立ての名刺も活躍している様子。
昼も夜もおめでたいこと続きの一日でした。