高岡で伊東順二氏とレクチャー

三連休の真ん中の10日、富山県高岡市にレクチャーに行ってきました。富山県デザイン協会が主催する産学ワークショップのキックオフということで、美術評論家の伊東順二氏が「守・破・離(syuhari)」というテーマでお話をされ、そのあと私が「世界に発信する地域ブランド」というタイトルでennのことを語るという二部構成です。
「守・破・離」は、受け継がれたものを守り、現代に合わなくなった物を捨て去り、新しく独自の工夫を加え、今までの型を越えてオリジナリティを出しながら、もとの本質は見失わないという千利休の茶道の心得。一般社会での仕事の仕方にも当てはまりますが、特に伝統的地場産業には欠かせない考え方と言えるでしょう。
ennのブランディングも然り。守るものがあり、捨てるものがあり、よそにはない新しい価値の創出があり。その先に経済活性だけではなく文化が花開くことも意図して進めているプロジェクトです。

伊東氏は、茶の湯での「型」の話などのほか、空間そのものを工芸作品とした金沢21世紀美術館での世界工芸トリエンナーレを例にとって話を展開されました。ベテラン、若手という区分もなく、個々の作品の価値がシャッフルされて一度に目に入ってくる空間。「風景」が見える展示に、工芸の現在と未来に対する明解な視点が感じられました。